ひかりをゆくよ

2024/10/19

夜のベッドで『海のうた』をひらく。言葉からシーンが生まれ、シーンから物語がひろがっていく。三十一文字で。短歌はプラネタリウムの投影機のようだ。

海風に嘘の未来はかがやいてぜんぶの袋小路を照らす/笠木拓
春とあなたの価値は等しい夕闇の海で貰った海の一粒/堂園昌彦
石ころが海の底へと落ちてゆくさまを思うよ今日のおわりに/工藤吉生
空調の音さざ波に変わりゆく寝不足の午後の図書館は海/戸田響子
海の画を見終へてひとは振り向きぬその海よりいま来たりしやうに/川野芽生

2024/10/20

なめらかにひかりをゆくよ思い出をよこぎりながらすすむでんしゃは

電車にそそぐ光は、国も性別も年齢も異なる私たちを等しく照らす。私たちは同じ方向へ行く。山へ向かって電車は進む。明るい、ただ明るい山麓に沿って電車は進む。なめらかに。それから空を飛ぶように街を横切る。

あの頃に会いに行くために私ができることは、書くことだけだと思う。

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