ゆっくりと

病院でCTを撮った後、いつもと違うスーパーで買い物をする。2階でお酒を見繕い、1階で生鮮食品を。タケノコ、新生姜、ホタルイカ、タコ。ツヤツヤとして並ぶ旬の食材を眺めるだけで心が躍る。時間を気にすることなく、広いフロアをゆっくりと一周した。いつも子どもを連れて、いかに効率よくフロアを回るか考えながら買い物しているからそんなことは久しぶりで、パンパンになった買い物袋を自転車の前かごに載せながら「ああ私はすべてゆっくり進めてゆくのが好きだった」と気づく。周りよりスピードが遅いのが自分だったし、別にそれがコンプレックスでなかった。それが私の普通だったと。社会に出て仮面を被り、周りの普通に馴染もうとするうちにすっかり忘れていた。

私の普通で歩ける道をゆけばそれで良いと、電動でアシストされながら緩やかな坂道を漕いでゆく。飴色を帯びたひかりの中をすすんでゆく。