問い

チェ・スミン編『私の小さな日本文学』のあとがきがとても良かったと風文庫の長谷川さんに伺って、私もまずあとがきから読んでみた。なんだか泣きそうになってしまった。

チェ・スミンさんとは歳が近く、日本と韓国、環境は違えどリーマンショックの余波が残るなか東日本大震災が発生し買い手市場だった就活の現場をありありと思い出した。

“私って、何のために生きていくのだろう” P189

スミンさんの心からの問いは、数十社受けてやっと受かった会社に違和感を感じながらもしがみついていたあの頃の私の問いでもあった。仕事終わりのバスからスミンさんが眺めていたソウルのビルの輝きは、面接終わりに乗り込んだ夜行バスから眺めた東京の街の輝きでもあった。

何のために生きていくのだろう。その問いはあの頃から現在まで絶えず心にあり、そのせいで何も手につかなかったり、そのおかげで何かを掴めたりもした。これからもそうなのだと思う。

“人生は、私が質問し、私が答えることで進んでいく。”P204

『私の小さな日本文学』には十六の近代文学の掌編がおさめられていて、それぞれの冒頭にスミンさんからの問いが付されている。

問いは気にしなくても構わないそうだけど、一つ一つ答えを確かめながら読みたいと思っている。