眠る季節

夢から覚めたように冷たい朝だった。作業中のラジオが頭の奥の奥のほうに広がっている記憶をシーンごとに切り取って私に手渡す。中学生の頃の私、子どもが生まれる直前の私。はじめて寒い季節を恋しいと思う。

そういえば朝ドラのおむすびで、地震でタンスが倒れてきて下敷きになって亡くなったというセリフがあった。震災があったとき、被災地から遠く離れた我が家もタンスの位置(眠る場所だったかもしれない)を見直しつっぱり棒をつけたことを、朝から昼にかけてじわじわと思い出した。そういえば小学校のときの担任の先生は、学生時代に被災し下宿の土壁をテレビのリモコンで掘って脱出したと言っていた。当時から今日まで、一度も思い出したことはなかった記憶がドラマによって浮かびあがってくる。

タンスの下敷きになって亡くなったというエピソードに対して「そんなとってつけたような理由」という意見もあったらしい。タンスのある家も土壁の下宿も、今の都市部にはもうあまりない。3日経っても避難所を被災者自身が回している現状や、歩ちゃんのさめざめと泣く感じ。「あの頃の被災地」の再現度の高さに心打たれる一方、朝ドラという人も手間もお金も潤沢に使える現場でないともうここまで再現できないのかとも思う。30年という月日の長さを知る。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA