帰宅

実家から帰ってくる。何をしていても、誰にも何も言われない空間に心が緩む。親を憎んでいるわけでないが、親と暮らすことは私には無理だ。一人の空間、一人の時間がなければ生活できない、それは何をするにしても親に何かを言われ続けていた体験がそうさせているのだと思う。

高速道路を走っていると、山腹に靄が漂っているのが見えた。「雲食べたい」と上の子が言う。「晴れてるときの雲が食べたい。曇ってるときの黒い雲は食べたくない」と、求めてもいないのに説明する助手席の上の子の後頭部を見つめながら、ああしろこうしろと言い過ぎてしまっていないか、自身を省みる。