昔話

歩きだすわたしではない人の息に耳を澄まし青草を踏み

検診のため1週間ぶりに外に出る。車の窓から見えるのは動き出した休日の街。学習塾の鍵を開けようとしている男性。ラジオから流れるオカモトズ。

産院で受付。直前の検診で機嫌の悪そうだった事務の女性は、今日は優しかった。それから破水したベンチに座る。着替えたトイレへ行く。下の子どもが生まれた日の自分をなぞって歩く。たった10日前ぐらいのことなのにすべて昔話のようだった。